新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

なまにくの色

 

有り体に言うと心が弾んでいる時、心はなまにくの色をしている。vividな血液が心に集まり、少しさわれば張り裂けようかというほどに膨らんで、薄くなった表面を透かして見える色がそれだ。これほどに引っ張られている心はもちろん痛くて、何度も足を組み替えたり、目線をあちらへやったり、頭の中で詩を朗読したりと気をそらすためにこちらは必死である。しかし当の心は自分勝手な奴で、こちらが気を抜こうと抜かずとも大きくはねる。初めはこちらを急かすかに感じたその強さ、早さのなかにも居場所を見つけることに成功すると、それらはそのまま幸福感と祝福につながる。

私のような、自己顕示欲が強く、他人を侮るが、大衆から一様に評価されることを良しとしない自信家な若い女は、この最期の過程を不得手としている。