新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

ぐえあ

 

夕方の帰宅ラッシュ前、ガラガラの電車だった。わたしと友人は遠くに行くはずだった。遠くに行くんだけれど、席が空いていなかった。なんとなーく友人は今日疲れていて座りたい雰囲気を醸していた。西日暮里について、どっと人が降りた。モタモタしていたら、空いている席が埋まって行って、2連で空いているのが角の優先席だけになった。友人が座ろうといい、わたしも特に何も考えず座った。東京駅を過ぎた頃だ。激しく後悔をした。目の前に杖をついたおばあさんが立ったのだ。その数駅前からすでに車内は混みはじめていて、全ての席が埋まったタイミングで、わたしはスマートに立ち上がり優先席を後にするべきだったのだ。完全に見誤った。どうすればいいかわからない。頭の中で吉野弘の詩が繰り返される。(吉野弘 夕焼け)わたしはやさしい心ではないので、怖くて、おばあさんが次の駅で降りるんじゃないかと、気がつかないふりをしながらツイッターをした。10分がとても長い。そろそろ発狂しそうになった時、神様の優しさを見た。電車がポイントを通過したのだ。まるで、今よろけるおばあさんに気がついたかのように、どうぞ座ってください、と満員電車の中席を譲る私。ありがとうねと感謝するおばあさん、席に座ったままの友人。地獄の時間が流れた。ウトウトしてた…。とバレバレの嘘をつきながら友人も3駅後くらいに立ち上がった。でもその事実も勇気があると思った、好きだ。向かいのヤンキー風の若者たちはついぞ立ち上がらなかったが、それもすごいと思った。

我々が関内で降りた時、おばあさんは、また私に向かってありがとうねとおっしゃった。本当にグッと恥ずかしさだけがやってきて、いえ、大丈夫ですから!とかいう微妙な返事をしてしまい、そのまま逃げるように電車を降りた。

二度と優先席は座るまい。

 

言いたかったことはその日の浜スタでは阪神が勝ちました。