女子大生雑記録

22時ちょうど東京駅発

ほんとの部屋

 

あなたは、ほんとの部屋に招かれたことがあるでしょう?遠いむかしからのことを思い出してください。幼稚園のおもちゃのお家の中、移動教室の夜同じ布団の中、近所のマンションの階段の裏、昼休みの談話スペース、深夜の寿司屋のカウンター席、向かい会うその2人にとってどこにでも、ほんとの部屋はあったでしょう?秘密話、決して他の人には言わないの、心の裏側にあったような、生の考え、考えほどには固くなれてない、だけどきもちのようでそうではない、意思と書けば近いでしょうか、兎に角、相手のほんとを教えてもらったことがあるでしょう?あなたもきっとその鋭さにびっくりして、とっさにうまく自分の意思を取り出せずにドギマギしてしまったり、怖くなって自分のほんとを返すことができなくて後から懺悔をしたり、うっかり嬉しくなって他の人に自慢してしまったりしたことがあるんじゃないのかな、と思うのです。

 

大人になっても、私たちにはほんとの部屋が必要なのです。心のある隣人によって、ほんとの部屋に招かれたとしたら、幼稚なことだと恥ずかしがっては悪です。馬鹿らしいと思うこともないのです。恋人の髪を撫でるように、妹の頬を両手で包むように、幼稚園の友達の手を握ったように、自分の意思をそっと取り出してみるだけのことです。

 

誰かをほんとの部屋に招待したいと思えば、一度は呼んでみればよいのです。