新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

どこまで

 

就職が決まった女が、泣いた。嬉し泣きではなくて、勤務地によっては実家から通えない。実家を離れるのが寂しい、と泣いた。同調する女が、私も初めて一人暮らしをした日、親が帰ってから泣いた、と言った。とても新しい感情に触れた、と感じた。私はそんな感情とは無縁だった。実家から離れた喜びと自由への好奇心しかなかった。ずっと欲しかった1人の部屋。真夜中の散歩、自分が長女でよかったなあと心の底から思った。もし自分よりも年長の兄弟がいたとして、先に家を出ていかれたら、羨ましさで狂ったと思う。

 

昔から、自分が集団に属しているという意識は低い。普段ほとんど感じない。大人に取り入るのがうまかったので、なんともなく過ごしてきたが。つまりは、悪びれなければいいのだ、私が個人であることになんの罪もないですよ。あなたはどうして集団の意思を重んじるの?と無邪気2000パーセント最高なLOVEというかんじで振る舞えばいいだけの話なのだ。でも、それを意識してする人ってあんまりいない。しかも今回その話を書きたいわけでもない。

 

わたしの個の範囲が、まずいのかも。と、いうのが最近の発見だ。極論わたし以外どうでもいいわ、と思って生きているが、どうやら、わたしの範囲がわたしと恋人まで入ってるらしい。ふたりはプリキュア!なのね〜。でも、彼氏は当然人間なので意思を持っていて、それはわたしの意思とは独立にうごくわけで、だからわたしの中の主人公が2人になっちゃって、辻褄を合わせるために、わたしが2人にならないように我慢するわたし(わたし)。彼の行動の意味を後から考えて、自分のベースの意味付けを行い、思考をトレースしようと試み、失敗し、成功し、どちらにせよ苦しい。いうことを聞いてくれ。わたしあなたの思考を読んで求めるであろうことをやってんじゃん、好き勝手に生きてんなよ、自分のため(わたしと彼自身のため)に生きろよ、、、。わたしにとっては自分(じぶん&かれし)のために生きることがベースになっているのに、あちらは、じぶん(基本的に彼氏自身のみ)のために生きているので、なんだかわたしが損しているような?そういう言い方だと違うんだが、報われないような、搾取されているような、勝手に差し出しているだけなんだが、そういう気持ちになっていくばかりだ。アホくさいが、特定の人間と継続的に親密な友好関係を保つためには、集団の存在を許さないわたしとしては、面倒にならないように、切らないように、するための最善策のようにも思えるから、どうしようもない。ほんの数日、2人が遠くにいるだけで、同一視に失敗して、わたしは本当は恋人という集団に属していることに気がついて、途端に彼の存在が鬱陶しくなって、彼が事故で死んじゃえばなあ、と自然に望んでしまうんだもの。