新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

ひがのぼる前だから

 

二度と会うことがないであろう人たちのことを数え上げていると、アッという間も無く指が足りなくなって悲しい気持ちになりました。そんなことで、悲しくなるほどの接点もないのに。高校の時、隣のクラスの話したこともない男子が、学校を辞めただけで寂しくなってしまった私のセンシティブな心はまだ健在のようです。

 

橋を渡りながら今、浅いのか深いのかもわからない、実はコンクリートなのかもしれない水面に向かって、携帯電話をこのまま投げ入れて、何処かへ行ってしまおうかともおもいます。

 

風があまりに冷たくするので、じぶんのことが、道端に落とされた、マフラーのようにおもえた。そういう日には自分を投げ出して、人に擦れさせて、傷つけてしまう。ヨレヨレになって、人にふまれても、私のことを好きだという人が拾いに来てくれることを知っているので、ボロボロのボロ布になることをやめられない。これは下準備なのだ。心を許している彼の手の内で、遠慮ない好意にすし詰にされるための。

 

近所のケーキ屋さんの窓に灯りが入っていて、正しい人の光はおれんじで、頑張る力もぼんやりと、目に優しいものだと知った。

 

誰かの家の玄関の、人感センサーライトをつけてしまって、早足でそこを離れた。

 

早くお布団にたどり着かなくては。