新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

ツンとして静かな意識

 

 

気分が落ち込んだ時に、電話をかけたい相手がいること、寂しいと思った時に会いに行きたい相手がいること、自分の中に育てている感情たちの中で、わずかに、社会的にも生きているものの例であるだろう。そしてそれらが即座に実行され、素敵な時間がすぐに手に入ることが今のわたしにとって重要なことであり、嬉しいことである。これは疑いようがありません。

自分の社会をどんどん狭くして行っている自覚があって、機能としての世界の中心はもう9割くらい先に述べたような人たちの上に乗って回っており、限られた世界の中で私は自分の鼓動を存分に堪能している。例えば、しばらく息を止めれば拍はどんどん細かくなり、頰は上気し、喉が乾く。

しかし血の通った心が私にも備わっていたというのは実際には勘違いでしょう。あなたが何気なくいう、励ましの言葉なのだろうか。元気なあなたが一番好き、とかいう呪いめいた一言で冷たく固まり、さらには凍ってさえしまうような具合なのだから。

 

私のことを好きだと言うことが恐ろしくもなんともないのなら、本当の私を認識しようと努めてください。私が私の本質として誇っている部分を評価してくださいませんか。それは冷たさではなく、ツンととがっている、静かな意識。その先に光る烈しさを核とした赤を超えた熱量が備わっていますから、壊さぬようにそっと指を沿わせてくれることは叶わないでしょうか。指が傷ついてしまう恐れがあると思っているでしょうが、きっとそうはなりません。むしろ壊れることを恐れているのは私の方なのです。いつもいつも、折れないように曲がらないようにさらに伸ばして行くことのみに注力しているくらいです。

 

周りの人たちと異なる性質を持つことを誇っているわけではないということだけは勘違いのないようにお願いします。誰しも皆はじめは同じように感じていたのです。親指を口に入れたことのない赤ん坊がいないように。ただいつからかそれが恥ずべき行為だと、諭されて素直に受け入れることができたのかが違いなのです。指を口に吸う理由をいつまでもいつまでも探し続ける苦悩を意識の一部に置き据えて、苛々として眺める愉悦を理解していることが私の誇りなのです。