新卒女雑記録

22時ちょうど 東京発

おはよう、

 

まちは、正しい。

朝になればいそいそと動き出し、おじいちゃんは公園の掃き掃除を、おばあちゃんは湯を沸かし、やかんから吹き出す水蒸気越しにキッチンから朝の光を浴びる。花は水をもらい、鳥は鳴き、全ての始まりが感ぜられる。これが健康な人間へ与えられる素晴らしい朝。

日が落ちれば、シャッターは下ろされ、音は小さくなり、電灯が太陽の代役をかって出て、整えられた食卓を照らす。人はみな家に帰り、湯浴みして、布団を温める。12時にもなれば、起きているものも遠慮がちに、声をひそめて語りあう。そしてまた、素晴らしい朝を待つ。

 

私はといえば、16時に目覚られればいい方で、のろのろと準備をし、1日の終わりに滑り込むようにバイトへと向かう。バイトが終わればもう、街の灯りも消える頃、終電を逃さないように小走りで駅へ行き、冷えた部屋で細く暖房を焚きながら、こっそり風呂に入り、壁にもたれながらゲームや、編み物、読書をする。窓の向こうが明るくなるのが怖くて、6時より前には布団に潜り込み、眠気が来るのをじっと待つ。